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諦めが肝心

「ねえねえゲドさん。ちょっと聞いていいかな?」

 真剣な眼差しで見上げてくるヒューゴに、ゲドはなんだ?という顔でヒューゴを見る。

「あのさあ、ゲドさんっていつ頃から背が伸びた?子供の頃からそんなに背が高いわけじゃないよね?」

 少年の質問に、ゲドは目を丸くする。

「おれ、ちゃんと食べてるし運動もしてるししっかり寝てるのに、同じくらいのヤツに比べて背が低いんだ

よね。母さんは、大人になればちゃんと伸びるから気にするなって言うんだけど……」

 はたから見れば些細な悩み事だが、本人には至って深刻な問題なのである。

 カラヤにいた頃からも気にしてはいたのだが、ここビュッテヒュッケに移ってきてからは、同じ年頃の人間

を目にする機会が増えた為、気になって仕方がなくなってしまったのだ。

 ゲドの答えをドキドキしながら待つヒューゴに、ゲドは憐憫のこもった眼差しで肩を叩いた。

「……諦めろ」

「え?」

 ゲドは右目の眼帯を押さえながら、彼方を見て続ける。

「真なる紋章を宿した者は、その時点から老いることもない。それはつまり……」

 成長することも、ないのだ。

「そ、そんなあ……」

 多大なるショックを受けてよろけそうになるヒューゴに、ゲドも大きくため息をつく。

「おれも昔は大いに悩んだものだ。もうちょっと若いうち、いや、せめて両目が揃っているうちに紋章を宿せ

なかったのかとな」

 はっと息を飲むヒューゴ。そう、ゲドの右目は眼帯に隠されている。ゲドは多くを語らないが、これまでの

人生の中で片目の光を失ってしまったことは一目瞭然だ。

「……まあ、そのうち諦めもつくだろう……」

 慰めにも何にもならない言葉を残して、ゲドはその場から立ち去っていった。

 残されたヒューゴは、しばらくの間、その場に立ち尽くして呆けていたと言う……。


「……じゃあ、わたしは運がいい方なのかな」

 さり気なく立ち聞きしていたクリスが、ちょっと得した気分になったのは言うまでもない。



-完-

 ゲドの生い立ちなどにはゲーム中であまり触れられていませんが、眼帯をしてるからには恐らく……。

 ヒューゴは成長期途中で紋章を継いじゃったし、なにしろ男の子ですからねえ。ちょっと可哀想。
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