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喜劇・ロミオとジュリエット

「……というわけで、ですね。ぜひとも皆様方にお願いしたいのですよ」

 集まったビュッテヒュッケ城のメンバーを前に、一通り事情説明した後、ナディールはそう締めくくった。

 途端に、大ブーイングが起こる。

「事情は分かりましたけど……でもなあ」

 困り果てた顔をしているのは、城主であるトーマス。

「そんな面倒なこと、おことわりだな」

 きっぱり言い捨てるジョアンに、無言で拒否のオーラを醸し出しているアイク。

「そ、そうですよ!我々素人を舞台に上げるだなんて、無茶もいいところです」

 どぎまぎしながら言うのはセバスチャン。その後ろではマーサも、腕組みをして頷いている。

「そうですか?しかし他の皆さんは、やる気充分のようですが……」

 ナディールの言葉にトーマスが後ろを振り返ると、

「演劇なんて楽しそうじゃないですかっ!やりましょうよトーマス様ぁっ」

「ぼく、がんばるよ」

「まあ、たまには良かろう」

 結構乗り気なセシル、ムト、ピッコロの様子に、トーマスがため息をつく。

「興行に穴をあけるわけにも参りませんし、お願いいたします、トーマス様」

 ナディールが彼らを呼び出したのは、舞台への出演依頼のためだった。

 ナディールがビュッテヒュッケ城で劇場を始めてから、連日劇場は大賑わいとなっている。

 ネイやシャボン、エリオットやヒューゴなど、芝居上手のメンバーによって興行が行われ、時には旅の途中に

手に入れた新しい脚本を使って演目を増やしながら、劇場は大盛況を収めてきたのだ。

 しかし、ここにきて戦況が激しくなり、主演役者たちが相次いで戦に駆り出され、興行が出来なくなってきたの

である。

 そこで、城に残っているメンバーにナディールは白羽の矢を立てたのであった。

「でも、僕はお芝居なんてやったことないし……」

「そうだそうだ」

「………………嫌です」

「そそそ、そうですよナディールさん。私たちを舞台に上げたら、お客様がいなくなっちゃいますよ」

「私が精一杯ご指導申し上げますし、演目も簡単で客受けのするものに致します。ですから、どうかお願いいたします」

 深々と頭を下げて懇願するナディールに、とうとうトーマスが折れた。

「そこまで言うのなら……」

「おい、トーマス!」

 ジョアンが待ったをかけるが、トーマスはそれを無視して続ける。

「ただし、僕たちは素人ですから、あまり期待はしないで下さいね?」

「はい、承知しております。それでは早速、配役を……」

 いそいそと脚本を配り始めるナディールに、ジョアンが盛大にため息をつく。

「……どうなっても知らないぜ?」


 上演演目…ロミオとジュリエット
 ロミオ……トーマス
 ジュリエット……セシル
 乳母……マーサ
 衛兵1……ジョアン
 衛兵2……アイク
 裏方……セバスチャン・ムト・ピッコロ

 数日の練習の末、舞台は上演された。




「……なんでトーマス様ってば、大事なセリフをはしょってばっかりなんですかぁ」

「それをいうセシルだって、セリフ言い換えてるくせに……」

「その前に、こいつらに恋愛話をさせることが間違ってないか?」

「それじゃお主がロミオをやってみい」

「婆さんがジュリエットを熱演してくれるってならな」

「………………」

「ぼくも舞台にでたいなあ〜」

「ほっほっほ、次のロミオはわしかのう?」


「……大ブーイングのあげくに、収入はこれっぽっち、ですか……」

 肩を落とすセバスチャンに、ナディールも仮面の奥から深々とため息をついた。

「人選を誤りましたかね?」

「……はなから気付け。」

 ジョアンの突っ込みが、閑散とした舞台に響き渡った……。

 その後、彼らに二度と出演依頼が来ることはなかったという。




-完-

 実際にやってみると、恥ずかしいセリフを飛ばすロミオに元気いっぱいなジュリエットが初々しくって面白いんですが、

やっぱりブーイングに……。

 意外にジョアンは普通な演技をしてくれます。

 幻水3の劇場は、かなりヒットです♪
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