BACK

告白

 長い時を一人きりで生きてきた少女、シエラ。

 永遠とも思える時の流れに、しかし彼女は絶望を感じてはいない。絶えがたい孤独に苛まれながらも、それでも、

辛いことばかりではなかったと言えるのは、彼女の強さ。

 ただ一人、彼女が心を預けた男も、もういない。

 彼女自らが引導を渡した男。月の紋章を受け継いだシエラが、最初に仲間にした青年。

 亡骸を葬るまでもなく、彼は塵となって虚空に消えた。青白い月夜に散った。それは、つい昨夜のことだ。

 「なあ、シエラ。おれが、もし……もしもだな」

 躊躇いがちに切り出すナッシュに、シエラは小首を傾げてみせる。

「その……人として充分生きて……それで、そいつに飽きた時には、あんたと同じ道を歩いてもいいって言ったら……」

 シエラの赤い目が一瞬見開かれる。

 真なる紋章の手がかりを求めて彼女に接触してきた男、ナッシュ。減らず口ばかり叩き、何度もシエラを呆れさせた

青年は、今ばかりは心からの言葉を紡いでいる。

 それは、シエラが嫌う同情でも憐憫でもない、ただひたすらシエラを思うが故の言葉。

 月明かりに照らされた彼の横顔が、その真剣さを物語っている。

 嬉しかった。

 ただひたすらに、その言葉に込められた気持ちが嬉しかった。

 だからこそ、シエラはそっと微笑を浮かべて、言った。

「言ったであろう?おんしはわらわの好みではないと」

 途端に、ナッシュが何とも情けない顔になる。

「そりゃないだろ、こっちは真剣にだなあ」

 くすくすと笑いながら、シエラはわざと冗談めかしていった。

「第一、人として充分生き、人生に飽きた頃といったら、おんしはよぼよぼのしわしわじゃぞ?そんな男をそばに置ける

ものかよ」

 うっ、とナッシュが詰まる。言われてみればその通りだ。

「もう少し、考えてものを言うんじゃな。じゃが……その気持ちだけは受け取っておくぞ。ナッシュ」

 優しい声に、ナッシュがおや?という顔をする。見上げれば、ベッド脇に立つシエラは今まで見たこともない、柔和な

笑みを浮かべていた。



 ……おんしには今、為すべきことがある。その妨げになど、なりとうないからの……

 じゃが、もし……もし、いつかおんしが自由の身となったのなら……そしてその時、まだその気持ちがあるのなら……

 ……わらわはおんしの前に、現れようぞ……

 ……待つのには慣れておるからの……




-完-

 ギャグを書くつもりが、いつの間にか普通にナッシエになってるのはどういうわけか……?

 3では37歳になって登場のナッシュくん。まあ、まだ外見は若い方だから、大丈夫かもね(なにがだ)

BACK
広告 通販 無料 チャットレディ ブログ blog